日本心理教育センターで受けることのできる主なトラウマケア

  • TIC(トラウマ・インフォームド・ケア)
    • トラウマが長期化したり、複雑化したりすることを防ぐための方法として、また、PTSDで苦しんでいる方の第一段階のケアとして、近年注目されているアプローチです。その人が受けたことが、外傷的な体験(トラウマ)であることを自覚し、トラウマが引き起こす作用やその特性、対処の仕方を学ぶことで、正体不明の不安や恐怖、心身の不調に苦しめられることが減っていきます。トラウマを扱うカウンセリングや専門的なプログラムにも、取り入れられています。
  • EMDR
    • トラウマ処理の方法として、現在もっとも広く使われているアプローチです。眼球運動によって海馬へのアプローチを活性化することで、記憶の底に沈んでいたトラウマ記憶を再現させ、想起した場面を語り、それに共感とともに、新たな解釈を与えることで、トラウマ記憶の無毒化を行います。こうしたプロセスを積み重ねることで、トラウマの処理が進んでいきます。EMDRの資格を持った心理士が行います。当センターでは、スーパーバイザーとともに顧問の医師が状態や経過をモニターして、安全に行えるように配慮しています。
  • ナラティブ・エクスポージャー・セラピー
    • 自分が体験したことをナラティブ(語り)として表現し、語りの中で再体験し、感情を放出するとともに、新たな意味づけのもと、再統合する作業を、カウンセラーとともに行うことで、トラウマを克服する方法です。ヴェトナム戦争で過酷な体験をし、PTSDとなった多くの兵士たちにも活用され、比較的安全性が高く、かつ高い有効性が認められた方法です。カウンセリングや他の技法と組み合わせて用いられることもあります。
  • EFT(タッピング療法)
    • トラウマは身体的な反応と結びつくことで、言語的なアプローチだけではコントロールが難しい場合があります。そうした場合に有効性が期待できる方法の一つが、EFT(タッピング療法)です。東洋医学の「気」の理論が取り入れられ、タッピングの技法を用いることにより、トラウマと結びついたネガティブな感情やとらわれを解放し、自律神経の不均衡を改善するものです。安全性が高いアプローチです。専門的なトレーニングを受けたセラピストが行います。
  • ホログラフィートーク
    • ホログラフィートークは、嶺輝子氏によって開発されたトラウマ処理のアプローチで、軽催眠下で、クライエントをとらえている感情や身体症状がどこに由来するかを、クライエント自らが気づいていくことによって、トラウマの解消を図ります。正式の研修を受けた資格を持つ心理士が、担当します。イメージすることが苦手だったり、極度に不安定な状態の場合には、適しませんが、安全性の高い方法です。
  • ソマティック・エクスペリエンシング
    • アメリカのピーター・A・ラヴィーン博士によって開発された、トラウマ処理の方法です。トラウマを抱えた人では、過覚醒状態や交感神経の過度な緊張状態が続いていますが、ソマティック・エクスペリエンシングでは、身体感覚に注意を向け、そこからの気づきを通して、高度に覚醒した神経の過剰にたまったエネルギーを徐々に中和し解放することで、症状の改善を図ります。トラウマと結びついた心身の異常を改善する方法として、アメリカを中心に広まっています。専門の研修を受けた、資格を持つ心理士が担当します。
  • SSP(Safe & Sound Protocol)
    • SSPとは、近年注目される、ポリヴェーガル理論に基づいた新しいトレーニング法です。アメリカのステファン・ポージェス博士によって開発されました。ASDやHSPがあり感覚が過敏な方や、トラウマを抱えた方では、感覚過敏だけでなく、それと結びついた迷走神経の異常な反応が起きています。SSPでは、特殊な加工を施した音楽を聴くことで、聴覚をはじめとする過敏性や傷つきやすさや迷走神経の異常な反応を和らげます。過敏さや過度の緊張、不安、それに伴う生きづらさを改善するとともに、社会的な関わりやコミュニケーションを促進し、ストレスに対する抵抗力や安心感、幸福感を高める方法として注目されています。専門の研修を受けた、資格を持つ心理士が担当します。
  • ハコミセラピー
    • イメージを活用することで、トラウマとなった状況を再現し克服していくことを助ける強力なセラピーの手法です。長年未解決だった問題やトラウマ、とらわれをほぐしていきます。専門的な訓練を積んだセラピストしか行うことができません。
  • メンタライゼーション・ベースト・トリートメント(MBT)
    • 相手の気持ちを相手の立場に立って理解することを、メンタライゼーションと言います。境界性パーソナリティ障害など、自己否定や怒り、被害的考えにとらわれやすい状態では、このメンタライゼーションが低下して相手の気持ちを正しく読み取れなくなっていると考えています。メンタライゼーションを修正し、相手の気持ちを相手の立場に立って理解できるようになることでネガティブな感情や行動に陥ることを減らし生きやすくなるのです。ただ、MBTは精神分析をベースにした方法で長い時間と費用がかかってしまいます。当センターの顧問岡田は、もっと使いやすい形にMBTを取り入れたメンタライゼーション・トレーニングを開発し、不安定型愛着改善プログラムなど、さまざまなプログラムに活用しています。取り組みやすく、比較的短期間でトレーニングすることができます。